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ウォルマートvsアマゾン価格競争の敗者はどちら?(The Financial Page November 9, 2009) 一昨日英文掲載文、和訳掲載

 今日は一昨日掲載した英文の全和訳を掲載します。

 


 

 アメリカで、アマゾンとウォルマートがネット通販の新刊本販売で値引き合戦を繰り広げました。さて、どちらが敗者になったでしょう?いずれも敗者ではなく、勝者です。敗者となったのは、出版社や大型書店です。2社は、これが大きく報じられることにより、ネット通販の売上が大きく伸びました。新刊本の値引きの損なんて微々たるものでした。一方、出版業界は、大きく利益を棄損された被害は甚大でした。


 サロウィーキは、できれば価格競争なんてしないほうがよいと言います。そうなると、業界全体の利益が半減してしまうのです。品質とか、顧客サービスで勝負するべきなのです。でも、日本を見てると、様々な業界で価格競争は続いています。参入企業が多く、同じ様な商品を売っている業界は価格競争をするしかないのです。消費者からすると、価格が下がるのは嬉しいことではあります。しかし、価格だけを訴求されても、なかなか購買意欲は刺激されないですね・・・

 



 さて、詳しくは和訳全文をお読みください。
以下に和訳全文を掲載します。「続きを読む」をクリックしてください。

 

 


 The Financial Page

Priced to Go(価格競争の行き着く先)

by James Surowiecki   November 9, 2009

 1992年の春、航空業界は、それまで続いていた不況の影響と過度の値引きによって、悲惨な状況でした。で、アメリカン航空はたに“バリュー・プライシング”という価格政策を打ち出しました。それは、複雑な値引き価格体系を、単純な4つの価格にして、結果として航空料金を値下げするというものでした。競合他社も追随し、航空業界での値引き合戦も一段落するだろうと予想されました。しかし、実際にはT.W.A.USAirもっと大きな値引きを進めました。アメリカン航空は、すぐに追随しましたし、時には、両社よりも大幅な値引きをしました。他の大手航空会社も追随するしか選択肢はありませんでした。けば航空業界全体が値引き合戦にはまり込んでいたのです。結果として、数ヶ月の間に、航空業界全体で40億ドルもの利益が失われました

 ある経営学教授は、航空業界の価格競争のことを、“全ての価格競争の母”と言いました。しかし、実は、他の業界でもこうした価格競争は存在していました。価格競争に巻き込まれた全ての企業が疲弊するということは、他の業界でも起きていることです。そういえば、ここのところ、ウォルマートがオンライン書籍市場においてアマゾンに対して、価格競争を仕掛けました。なぜ、そんなことをするのかと不思議に思う方も多いでしょう。ウォルマートは、スティーヴン・キングの新刊本やサラ・ペイリン刊行予定本を含むベストセラー10冊を値下げしました。10ドルにしました。アマゾンは、予想どおり10ドルに値下げしました。すると、ウォルマートは9ドルに下げました。再び、アマゾンは対抗して9ドルに値下げしました。すると、ウォルマートは8.99ドルに下げました。そこまでくるとアマゾンは追随しませんでした(しかし、ターゲット社が急遽参戦し、アマゾンより安い8.98ドルに値下げしました)。書籍の仕入価格というのは概ね小売価格の60%ですが、値引きの対象となった10冊は小売価格から60%以上値引かれていますので、アマゾンやウォルマートはそれらの本が売れるごとに確実に損失を被るでしょう。売れれば売れるほど、損失が大きくなるのです。どう考えても、割に合わない商売のように思えます。


 なぜ割に合わない価格競争に陥ってしまうのかということを理解することは難しくはありません。多くの競合企業が同じ商品を売っている業界においては、価格で勝負することは、他社よりも目立つための為の最も簡単な方法です。どんな商品かというと、マンゴー、ガソリン、DVDプレーヤー等です。価格競争を始める企業は、値下げをしたら、マーケットシェアが拡大出来て、利益も増えるだろうという希望を持っているのです。しかし、そういった結果になるのは、競合他社が価格競争に追随しない、あるいは追随できない場合のいずれかの場合でしかありません。実際には、競合他社も価格を下げ価格競争に追随することのほうが多いのです。それで、結果として、各社のマーケットーシェアは変わらず、価格だけが下がったという状態になるのです。ゲーム理論の視点から検証すると価格競争というのは、ネガティブサムゲーム(=マイナスサム。ゲームプレーヤーの利得合計がマイナスになるゲームのこと)になることがほとんどです。ですので、得する企業は無いのです。近年の研究で明らかになったのですが、競合他社が価格競争に追随した場合、業界全体の利益はほぼ半分になってしまうのです。


 ということなので、価格競争に生き残ろうと思うのなら、一番良い方法は参加しないことなのです。価格以外の面で競争すべきなのです。顧客サービス、品質等です。あるいは競合が予想される企業と馴れ合いを続けていくという手もあるでしょう。それが、OPECのようなカルテルが存在している理由です。でも、あからさまな共謀は違法になりますから、より微妙な方法を採用しなければなりません(いわゆる、談合です)。「価格の安定を重視する等の声明を表明したりします。そうすることによって、競合企業に、次のことを知らしめることが出来ます。価格競争をするつもりは無い、しかし、万が一価格競争を仕掛けられたなら、とことんまで戦うぞということです。業界全体が崩壊してしまう脅威を取り除くためには、あらかじめ立場を明確にしておくことは有効な方法のひとつです。それが有効なことは、多くの小売業者が他社のどんなチラシ価格に対しても値段をあわせると宣言しているのを見れば分かります。消費者からすると、そうした宣言をすることによって、より価格競争に拍車が掛かるように考えがちです。しかし、実際には、そうした宣言をすることによって、競合他社が価格競争に打って出ることは、より少なくなるのです。なぜなら、値下げをしても、すぐに価格を合わされてしまうと分かっているからです。チラシ価格値段合わせ宣言というのは、小売業界においての“doomsday machine(最終兵器)”です。


 もっとも、そうした戦術と抑止力が何時も有効であるというわけではありません。それが理由で、価格競争が時に起こることがあります。そういったことが起きるのは、当然のことです。競合企業より経営効率の良い企業にとっては、値下げ戦略をとることは賢明なことだからです。そうすることは、競争原理が働いた状態といえます。しばしば起こることですが、価格競争が無謀なギャンブルとなってしまうことがあります。競合企業が溢れている業界では、小さな企業は誤った認識をしていることがあります。価格を下げることによって、競合する大企業に気付かれ無いで、売上を増やせると考えることがあるのです。また、企業幹部の多くは、利益を犠牲にしてさえも、シェアに拘ります。それで、価格を下げることで、短期的に顧客を奪おうとします。また、企業幹部の傲慢さも、価格競争の一因となります。彼らは、価格競争を仕掛けても、相手の方が先に止めるだろうと考える傾向が強いのです。その場合の価格競争は、まさにチキンゲームです。チキンゲームと同様に後味の悪いものになることがほとんどです。


(注)チキンゲーム
英語では、games of chicken。別々の車に乗った2人のプレイヤーが互いの車に向かって一直線に走行するゲーム。激突を避けるために先にハンドルを切ったプレイヤーはチキン(臆病者)と称され、屈辱を味わう結果になる。


 もっとも、アマゾンとウォルマートは、ほとんど無謀には見えません。なぜ、彼らは価格競争をするに至ったのでしょうか?答えは、両社は、実際には価格競争などしていないのです。ウォルマートは、ネット通販にも進出すると宣言しました。今回アマゾンに仕掛けた価格競争の真の狙いは、アマゾンの顧客を奪い取ることではないのです。また、10冊の新刊本のいずれかを購入する顧客を獲得することでもないのです。真の狙いは、大型書店や他の小売業の顧客をネット通販業界に呼び込むことだったのです。そして、それらの顧客に他の商品を買ってもらうことが狙いなのです。通常、価格競争は良い結果をもたらしません。なぜなら、業界全体で値崩れが起こるからです。しかし、今回の価格競争は、値下げしたのは、新刊本10冊だけでしかないのです。その10冊が利益に与える影響など微々たるものなのです。それを上回る、大きな宣伝効果があったのです(大きな宣伝になったのは、値引きしたのが新刊本だったからというのがあります。英国で大規模なバナナの値引き合戦が勃発していますが、アメリカでは誰もそんなこと知らないでしょう)。ウォルマートがやったのは、いわゆる、ロスリーダー価格政策(loss-leader。赤字覚悟の目玉商品でトータル的に利益を出す政策)です。


 激怒しているのは出版業界と書籍販売業界です。新刊本の値引きによって、書籍の価値が大きく毀損されて業界全体として大きな被害を受けたと、大げさに批判をしています。大げさですが、一理有ります。今回の価格競争の本質は、ウォルマートとアマゾンの戦争ではなく、巨大な企業とその他の企業との間の戦争なのです。出版業界、書籍販売業界が被っている被害は、ウォルマートとアマゾンの戦争のとばっちりではなく、元々狙い打ちされたものなのです。ウォルマートとアマゾンは、価格競争をどのように仕掛けて、どのようにして勝利を得るかということを熟知していたはずです。つまり、どこが被害を受けるかということは知っていたのです。


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[ 2009/11/04 22:05 ] FINANCIAL PAGE | トラックバック(-) | コメント(-)
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