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・米雑誌“the NEW YORKER"の面白い記事を翻訳し紹介 ・インテリジェントでスタイリッシュな小説や記事が満載 ・James SurowieckiのTHE FINANCIAL PAGEが秀逸。これは月1回〜3回掲載。 視点がユニーク

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アメリカ財政制度の矛盾(the financial page July 27.2009より)

20日投稿した(JAMES SUROWIECKIの投稿記事)の訳文全文掲載します。


アメリカの連邦制度下における財政制度の不具合について述べています。主な視点は2つ。
?連邦政府(国)が景気刺激策として財政出動をしても、連邦制度下ではそれの多くは各州政府に渡されることとなる。国として財政出動し景気回復のために使っている金は、財政的に疲弊している各州ではすぐに使い切ってしまう。結果として、各州が国の政策と反対に増税、支出削減にはしり、国の施策の効果を損ねている。
?国全体で進めるべき施策も、各州ごとの意見を聞いていては上手くいかない。高速鉄道網の整備や、新たな電力供給網の構築が上手く進んでいないのはそのためである。
 なかなか他の経済学者には無い視点です。
以下全文です。




The Financial Page

Fifty Ways To Kill Recovery  
(50州がバラバラに行動することにより景気回復が遅れている)
by James Surowiecki
July 27, 2009


 もしアメリカの景気回復の足かせとなっているものを挙げよと言われたなら、誰もが挙げるであろうと思われる項目がいくつもあります。それは、依然として脆弱な銀行や、住宅価格の低迷や、消費者が未だ借金を抱えていることや、企業が用心深く行動していることなどです。 しかし、誰もが思いついていないようですが、実際には50個を挙げることが出来ます。アメリカの50州です。しばしば連邦制というのは、 優れた統治制度であり、アメリカの強大な国力の源の1つであると言われます。しかし、今回は景気回復の大きな足かせとなっています。

 今日、州政府の愚策をあげつらえばきりがありません。カリフォルニア州では、借金の支払いのために州債を発行していますし、ニューヨークの州議事堂は、クデーターと上院議員の座り込み抗議をする場と化しています。しかし、ここで問題なのは、地方の議会の政治家が無能だということではないのです。どこの州の議会もまともでないということが、普通のことになってしまっています。連邦政府による7870億ドルの景気刺激策について考えてみてください。そういった刺激策は、景気が落込んでいる状況下において個人消費の落ち込みと企業の投資抑制の影響を中和するために政府が支出を増やし減税をすべきだという考えに基づいています。それで、連邦政府は景気対策をしているのですが、景気が後退しているので、支出ばかり増大しています。各州においては、反対のことが起こっています。ほとんどあらゆる州の州政府は、財政のバランスを取ることが要求されています。景気が悪くなると、雇用は減り、売上も減り、投資も減少するのです。結果として税収も急激に減ります。例えば、ニューヨーク州では、4月と5月の州の収入は前年比で36%も落込みました。それで、多くの州では、増税しなければならないか、支出を削減するか、または両方をするかしかないのです。もう少し詳細な例をあげるならば、ニュージャージーからオレゴンに連なる州では、すでに毎年のように大幅な支出削減をしているのもかかわらず、去年増税をしました。更に来年には支出の削減をしそうです。ところで、各州の財政政策は、“procyclical”(正循環、つまり政府支出を増やせば消費も増えるという考え)という概念からすれば、景気後退を更に悪化させるものです。景気後退を緩和するのとは逆です。連邦政府が市場にお金をどんどん注ぎ込んでも、多くの州政府が見事にその効果を刈り取っているという状況なのです。景気後退から回復させようとしているのですが、州政府がその効果を台無しにしてしまっています。景気後退に立ち向かっているのですが、足並みが揃っていない状態だといえます。

 現在、各州の支出削減は当初考えられていたよりは困難なものではなくなっています。景気刺激策の一貫として総額およそ1400億ドルが各州に配られたからです。The Center on Budget and Policy Priorities(財政政策研究所)による試算では、それだけの金額があれば、各州政府の予算不足の30〜40%は補うことができます。州政府に渡ったお金は失業給付ではなく雇用対策に使われ、支出の削減ではなく様々な事業に使われます。そういった目的があるからこそ、景気刺激策に投入される支出の多くの部分が州政府に渡されているのです。しかし、各州政府の財政不足が縮小されたというような兆しは見うけられません。ですから、連邦政府から流れてきた資金が使い尽くされてしまえば、やがて州税を増税し支出削減することがどこの州でも行われることとなるでしょう。景気後退の真っただ中で、経済活動における最大のプレイヤーの1つである州や郡や市の政府(それらの支出はGDP約13%を占めています)が、こぞって誤った行動をとろうとしているのです。

 また、アメリカの財政制度においては、景気刺激策のための支出が有効な効果を出すことがより難しくなっています。例えば、何百億ドルもの支出が各州の道路のために支出されています。しかし、結果としては、道路なんか必要としないような片田舎に不釣合いなほどの支出がなされているだけで(州によっては効果が有るところもありますが)、都市部はないがしろにされているのです。人が多く住んで、交通量も多いにもかかわらずです。米国の85の都市圏を合わせると、GDPの約3/4を産み出しています。しかし、そのエリアに投じられている道路建設のための支出は、全体の半分にも満たないのです。景気刺激策の一環として高速鉄道に何十億ドルも費やすことは、おそらく分別のある使い道だといえるでしょう。オバマ政権は国中に高速鉄道網の整備を重視しています。それでも、真の地方分権と言うことが出来るかも知れませんが、高速輸送ネットワークが上手く出来上がるか否かは、連邦政府の役割よりも各州政府の施策に依存するところが大きいのです。言い換えれば、マイアミからオーランドまで素早く行けるかもしれないが、他のところに行こうと思ったら遅い列車で行くしかないかもしれないということが起きるかもしれないということなのです。

 さらに重要なのは、アメリカの財政制度は優れた電力供給網を構築することの妨げになってしまっているということです。その構築には、各州や地域ごとに既に構築されている電力供給網を統合し、国全体の電力供給網を構築することが必要です。それには、そうするための課題や問題点を調べ対応していかなくてはなりません。国民にもっとそれに関する情報を提供しなければなりませんし、電力の使用量自体を制御していかなくてはならないでしょう。他にもするべきことが沢山あります。しかし、それが構築されれば、石油への依存度を低くすることが劇的に出来るかもしれないのです。風力発電は、最終的にはアメリカの電力需要の20%をまかなえるかも知れません。その際に問題となるのは、風力発電に適しているような場所は電力を多く消費するところとは離れているということです。新たな電力供給網が構築されれば、必要とするところに電力を供給することが可能になるでしょう。しかし、どの州でも送電線が自分の州に張られることを嫌がるので、送電線を張り巡らすためには、州をなだめすかすか、州の意向を無視してやるかのいづれかしかないんです。そして、そうすることは簡単なことではありません。

 連邦政府と各州政府の利益の対立というのは、今に始まったことではありません。20年ほど前までさかのぼりますが、共和党政権が“internal improvements(内政改善)”に取り組んでいた時代にも対立がありました。もちろん、現在の連邦政府は当時よりはるかに大きいし、この20年間で各州の議員の数も増えています。これについては、明確に言えることがあります。現場に近くにいる人の方が、そうでない人よりどうして良いかを良く知っているということです。しかし、州を跨いでの問題というのは、例えば新たな電力供給網の問題がそうですが、州ごとの考え方に基づいて対処するのは相応しくない問題なのです。連邦政府と各州政府のやっている事がバラバラという状態では、米国全体としての施策の効果は限定的なものになってしまうでしょう。それは、グローバル経済においても当てはまることです。1つの国家のようにして健全に統治されるならば、もっと上手くいくでしょう・・・。
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[ 2009/07/22 14:54 ] FINANCIAL PAGE | TB(0) | CM(0)
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