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The Financial Page(昨日掲載英文の和訳掲載) アメリカとヨーロッパ各国の財政出動規模の違い

昨日掲載英文の和訳全文です。

 アメリカとヨーロッパ各国では、経済危機に陥った際の対処法が異なります。それは、考え方が違うからです。

  アメリカでは、たとえインフレになっても経済成長をさせなければならないという考えが有ります。大恐慌時代は超デフレでしたから、そうなることを一番恐れるわけです。それで、財政出動をして経済を拡大させ続けようとするわけです。
 かたや、ヨーロッパでは、ワイマール帝国で年率何億倍ものインフレを経験し悲惨さを認識しています。どんなに景気後退しても財政規律を守ることが優先されます(財政規律が守られないと将来的には貨幣に対する信頼が揺らぎ、貨幣価値が下がりインフレになります)。それで大きな財政出動はされないのです。財政出動をあまりしないので、景気回復が遅れる、緩やかになるものの財政規律は守られるのです。


 

 

 



では、以下和訳全文です。

The Financial Page
Continental Drift

by James Surowiecki March 30, 2009

 アメリカの政治において、“ヨーロッパ”という言葉が使われる時には、「大きな政府」という意味も含まれています。現在の世界的な景気後退の局面において、アメリカと中国が景気刺激のための財政支出を何兆ドルもしているのを見ると、誰もがヨーロッパの各国政府もまた巨額の支出をしていると思うでしょう。しかし、事実は全く違います。アメリカがG.D.P.のおよそ6パーセントを景気刺激に費やしている一方で、フランスとドイツはほとんど目立たないほどの額しか費やしていません。それぞれ260億ユーロと500億ユーロでしかありません。アメリカは、今度の金融サミット(G20)によってグローバルな景気刺激策がもたらされることを望んでいます。一方、ヨーロッパの政策立案者は「愚かなケインズ主義」の弊害を危惧しています。米国連邦準備制度理事会はお金を潤沢に供給しています。一方、欧州中央銀行はゆっくり、しかも、いやいやながら金利を引き下げました。ヨーロッパ各国は、左翼的な考えなど全く無く、根っから保守的であるように見えます。

 ヨーロッパ各国の対応には、多くの批判がありました。経済学者の中には、ヨーロッパの政治家たちは危機の重大さに気づいていないと指摘する者もいます。そういった批判は、事実として的を得ている部分があるかもしれません。しかし、ヨーロッパ各国が注意深い対応をするのは、ヨーロッパ各国の経済とアメリカの経済の間に有る大きな相違を反映したものなのです。同時に、インフレーションとか負債といった状況に対する考え方も大いに違うのですが、その違いも反映しているのです。公式声明を見ると、ヨーロッパ各国とアメリカの政策立案者が、それぞれ全く異なった金融危機に対処しているように見えますが、それは、いく分かは、経済状況に対する考え方の相違が原因なのです。

 第一に、ヨーロッパでは英仏独などの大国は、政策に強い影響力を持っていますが、この不況下においても経済は崩壊してはいません。アイルランドとスペインのような国々では、住宅バブルが大崩壊しましたので、経済崩壊の度合いは甚大です。しかし、ドイツではバブルの発生自体が無かったので、負債に苦しんでいる人や資産が目減りしてしまった人はほとんどいないのです。 確かに、ドイツの経済は輸出への依存度が高いので、現在は苦しんでいます。今年は、アメリカ経済より落ち込みが大きいと予想されます。しかし、ドイツの失業率の上昇は、アメリカほどではありません。実際に、ヨーロッパの多くの国々では、雇用の喪失は深刻なほど増えてはいません。その理由の一部は、失業率が既にかなり高かったということがあります。アメリカの失業率は、2008年1月以来の3ポイント上昇しています。ヨーロッパは、同し期間に、1ポイントしか上昇していません。

 加えて、ほとんどの欧州諸国には入念なセーフティーネット(最低生活保障福祉制度)があるので、不況は人々の日常生活にそれほど影響を与えないのです。アメリカでは、ヨーロッパに較べると、雇用保険は少額の支給で支給期間も短いのです。だから、仕事を失うと言うことは、収入が急減するということを意味します。ヨーロッパの国々はどこも、失業保険給付金は十分な額であり、給付期間も長いのです。こういった政策は、良いことばかりであるとは言えません。失業給付が手厚くない場合よりも、失業率は高止まりするでしょう。しかし、景気が悪くなっても、人々の手元からお金が無くなる事はありません。結果として、ヨーロッパの各国では、景気が後退すると自動的に政府の支出が大幅に増えることとなります。その上、ヨーロッパ各国では、失業中であっても、ユニバーサルサービス(全国均一サービス)によって、医者に掛かることも可能なのです。

 だからといって、ヨーロッパ各国の人々が景気後退や失業に無関心であるというわけではありません。しかし、どんなことをしても経済を立ち直らせよという圧力は弱いのです。 その上、心理面で基本的な違いがあるように思われます。アメリカでは、財政赤字を拡大させないという財政規律が重視されてはいます。しかし、実際には、アメリカの今までのやり方を維持するために喜んで何兆ドルも借金を増やしています。アメリカではインフレが起こることは避けたいのですが、経済成長することの方が優先されてしまうのです。連邦準備制度理事会の使命は、インフレと戦うだけではなく、雇用の最大化もしなくてはならないのです。 ヨーロッパ各国では、厳しい財政規律が守られています。EU加盟国で財政赤字が3%を超える国があれば、是正勧告を受けるでしょう。欧州中央銀行は、1つの使命にのみ取り組んでいます。インフレを抑制するという使命です。

 ヨーロッパの経済政策では、スタグフレーションでは無くインフレこそが経済への最大の脅威であるという信念が反映されています。アメリカでたびたび語られるエピソードが有ります。アメリカが大恐慌に陥っていた時は(大変なデフレに陥りました)、ヨーロッパではドイツが経済の主導権を握っていましたが、ドイツ(ワイマール共和国)においてハイパーインフレという語が生まれた時であったというエピソードです。1923年にはちょうど1年で物価が750億%以上も上昇するほどで、ヴァルター・ベンヤミン(ドイツの文筆家)は、“信用、平穏、健全性”が消えてしまったと表現しました。そのエピソードにより、ドイツの政策立案者はインフレに対する恐怖を抱き続けていますし、基本的に負債というものを不快なものと考えています。ドイツ人にとって、危機に直面してさえも、財政の健全性を保つことは、経済的には理にかなったことであり、また、道徳的にも正しいことなのです。

 財政規律を重視するあまり、景気刺激と金融緩和に対して敵意を持ち実施しないならば、それには代償が伴うでしょう。間違いなく、ヨーロッパ経済も世界経済も回復するために時間を要するでしょう。それでもやはり、ヨーロッパの政策立案者は、安定していない経済状況を何とか切り抜けたいと思っています。また、自国では大きな財政出動をしないが、アメリカや中国の景気刺激策が自国にも波及して欲しいと願っているのです。アメリカ政府の支出は国外にも流出しています。アメリカ政府が景気刺激策をかなりの規模で実施すると、他国の製品も消費されるからです。そうして、ヨーロッパ各国は、自国は深刻なほど負債を増やすこと無しに、アメリカが借金を増やすことの恩恵にあずかっているのです。これは明らかに不公平です。実際、ヨーロッパ各国は、グローバルな経済的負担の分担は拒否していていながら、アメリカの政策の恩恵だけを得ているのですから。しかし、例えヨーロッパ各国がアメリカと同様に行動したとしても、効果が有るか否かは予想できません。アメリカの経済は、まさしく鮫に似ています。ヨーロッパの経済とは違うのです。前へ進み続けなかったら、死んでしまうのです。言い換えると、アメリカの経済はヨーロッパの経済と違って、より成長することを必要としているのです。結局のところ、アメリカが経済刺激の負担をすることになるという事実は、驚くべきことではないのです。

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[ 2009/08/05 00:12 ] FINANCIAL PAGE | トラックバック(-) | コメント(-)
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